hrukの日記

数学っぽい物理の修士と人工知能な情報の修士のヴァイオリニストで元・大手SNSのエンジニア兼データサイエンティスト。SNSきらーい。

経済学のモダンな使い方-インセンティブ(報酬)とゲーム理論と経営理論

「円安が進んでいるとか、そういうことですか?」

マクロ経済学や国際金融論ですね。たしかに経済学です。それはそれで知っておいたほうがいいけれど、そのような内容はWeb記事などたくさん書かれています。

そういうのじゃなくて、
お願いごとにはどのくらいの報酬(インセンティブ)が有効か?
これも経済学なんです。

『世界標準の経営理論』(入山章栄,ダイヤモンド社)が、いまでもベストセラーになっていますね。

「経営理論って株式やコストとか、一般人には関係ないでしょ?」

そうとも言えないんです。

経営理論の内実は意思決定の数理、どうすれば人が動いてくれるか、を基本的な問題としています。つまり、経営理論とは、経営者と雇用の関係をどのように設定すると効率がいいのか、これを計量的に研究する分野なのです。

要するに「アメとムチ」の使い分け。

経営理論の使い道は、経営に関する「経営者と雇用」の関係性だけでなく、友達・同僚・見知らぬ人・彼氏・彼女、そして自分自身にも、現実のシーンで応用ができます

世界標準の経営理論』はビジネス書なので、数式を使わずに文章で説明しています。もっとしっかり経済学(な数理)で書かれた本があります。理系の人にはこちらの方がピンとくるはずです。

  1. アセモグル/レイブソン/リスト ミクロ経済学 東洋経済新報社

  2. 「イノベーターのジレンマ」の経済学的解明 伊神満 日経BP

  3. 情報とインセンティブの経済学 (有斐閣ストゥディア) 石田潤一郎, 玉田康成

  4. 経営の経済学 第3版 丸山雅祥 有斐閣

    • 3,4の2冊は『世界標準の経営理論』を数理的に解説した本格派な専門書です。理系からすると数理的にはそれほど難しくありません。この2冊を終えれば、経済学・院レベルを修了したといえるかも? 

  5. 以上の4冊はいずれも、ゲーム理論が関係してきます。

今回は、新しめな経済学の側面を紹介してみました。伝統的な、というか主流なマクロ・ミクロ・金融の経済学も、いまなお健在です。これらもいずれ紹介したいです。

※注『国家はなぜ衰退するのか』は上下巻でボリュームがあります。概要を知る際に、『世界の政治思想50の名著 エッセンスを論じる』 T・バトラー=ボードン が有効です。この本は全時代的な名著が、日本の出版社の忖度なく、50冊選出されており、理系でも一般教養として読んでおいてもいい本ばかりです。